プライバシー通貨は復権するのか──Zcash、規制と機関投資家に揺れる市場

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1000ドル到達への道のりと投資家の見立て

Zcashの将来性を巡り、市場関係者の間で強気の見方が広がっている。BitMEXの共同創設者であるアーサー・ヘイズ氏は先ごろ、プライバシー特化型仮想通貨のZcash(ZEC)が今後1000ドル(日本円にして約15万6000円)水準に到達する可能性を指摘した。ヘイズ氏は投稿で「熊たちの涙が栄養になる」と悲観派の存在を軽視しつつ、Zcashについて「最初のターゲットは1000ドル」と明言している。

現在のZEC価格は1枚あたり約408ドル前後で推移しており、ここ1年で約696%の上昇率を記録している。この急伸背景には、プライバシー保護への社会的関心の高まりと、機関投資家の参入加速がある。

市場を動かす3つの要因

供給面での構造変化

ヘイズ氏が重視するのが2025年11月に実施されたZcashの半減期だ。ブロック報酬が半減することで、新規発行枚数が削減される。これによる流動性の収縮が、中長期的な価格上昇要因になるとの見立てである。

機関投資家の大型参入

11月にはウィンクルボス兄弟が関与するサイファーパンク・テクノロジーズが、Zcashの1800万ドル相当を追加取得した。タイラー・ウィンクルボス氏は「ビットコインがデジタルゴールドなら、Zcashはプライバシー機能を備えたデジタル現金」と位置づけており、プライバシー通貨の戦略的価値を強調している。

さらにGrayscaleが専用投資ファンドを新設したことで、将来的な現物ETF上場への期待感も高まっている。

オンチェーンデータが示す匿名需要

流通中のZcashの約30%がシールドアドレス(匿名アドレス)で保有されているというオンチェーンデータは、完全な匿名取引への需要増加を物語っている。

価格上昇の陰で蠢く下落リスク

ただし楽観的な見通しの一方で、ヘイズ氏自身も急落シナリオの可能性を否定していない。Zcash価格が一時400ドル近辺まで下落する展開も十分あり得るとの警告である。

レバレッジ市場の不安定性が残る中、大口投資家によるポジション解消に伴う連鎖的な清算圧力が、今後も価格変動のリスク要因として機能する可能性は高い。

規制当局の逆風が試練に

プライバシー通貨を巡る規制環境は依然として厳しい。EU(欧州連合)ではZcashやモネロ(XMR)などの匿名通貨を、2027年以降、仮想通貨交換業者が取扱うことを禁止する法案がすでに承認されている。

米欧におけるプライバシー技術開発者の訴追事例も相次いでおり、規制リスクは軽視できない。しかし同時に、AIの脅威やデジタル監視への懸念から、プライバシー保護を重視する社会的ムーブメントも広がっており、この相反する力学の中でZcashの立場は揺らいでいる。

結論──復権か衰退か、岐路に立つプライバシー通貨

Zcashが1000ドル到達できるか否かは、規制環境の行方、機関投資家からの継続的な支援、そして市場全体のリスク選好度によって左右される。価格上昇の勢いは確かだが、規制リスクと変動性の大きさを前にしては、慎重な判断が求められるだろう。

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