相対力指数 (RSI)は、相対的な抵抗力を示す指標であり、トレーダーが最も誤用しやすいツールです

もしあなたがチャート上のRSIを監視して70を超えたらすぐに売るという行動を取っているなら、それは初心者トレーダーの90%と同じ罠にはまっていることになります。問題はインジケーター自体ではなく、RSIとは何かを誤解していることにあります。

初めの誤解:RSIは反転ポイントを示すものではない

優れたトレーダーはRSIを使ってモメンタムを読む。これは「低いときに買い、高いときに売る」という無意味なシグナルではありません。

**相対力指数(RSI)**は、J. Welles Wilder Jr.によって1978年に作られたもので、唯一の目的は:市場のモメンタムを測ることです。つまり、価格変動の速度と大きさを示します。この相対的な強さを示す指標は、買い圧力と売り圧力の強さを教えてくれます。グラフ上の棒は0から100の範囲で動きます。

問題は、「相対的な強さ」という名前が誤解を招くことです。これは資産Aと資産Bの強さを比較していると思われがちですが、実際にはそうではありません。同じ資産の平均買い圧力と平均売り圧力を比較しているのです。

あなたのトレード方法を変える真実:RSIが高くなる=価格が下落しなければならないわけではない。それは単に、今の買いモメンタムが非常に強いことを示しているだけです。これが長期ポジションを持ち続けるサインになることもあります。売りシグナルではありません。

RSIの構造:計算式を理解して明確に把握しよう

手計算は不要です。プラットフォームがすでに計算してくれていますが、背後の計算式を理解しておくと、より賢く使えるようになります。

RS = 平均上昇幅 ÷ 平均下落幅

  • 平均上昇幅:直近14本のローソク足の終値が上昇した日数の平均
  • 平均下落幅:同じく14本のローソク足の終値が下落した日数の平均

買い圧力が売り圧力を上回るとき、(Avg Gain > Avg Loss)となり、RSは1を超え、RSIは50を超えます。逆に売り圧力が強いときはRSIは50未満に下がります。

よくある誤解のポイント:買いと売りがちょうど均衡しているとき、(Avg Gain = Avg Loss)となり、RSIはちょうど50になります。この50のラインこそが真のバランス点です。多くの状況で70や30よりも重要な指標となります。

一番の罠:70/30ラインはトレンドがあるときに機能しない

これがあなたの問題の根源です。

教科書では、RSIが70を超えたら買われ過ぎ、30未満なら売られ過ぎとされ、逆張りを推奨します。これは一見理にかなっているように見えます。

しかし、問題は:強いトレンドの中では、RSIは何週間もOverboughtやOversoldの状態を維持できることです。例えば、強い上昇トレンドの金価格は、RSIが70を超えたまま長期間推移します。買い圧力が継続しているからです。もし、すぐに売ることを考えるなら、何度も損失を重ねることになります。これは「トレンドに逆らう」最もリスクの高い戦略です。

同様に、下降トレンドのときにRSIが30を下回ったまま買いに入るのも危険です。下降中に買いに行くのは、「ナイフを拾う」行為に似ています。

70/30ラインは、横ばい(Sideways)相場のときにこそ有効です。トレンドがないときに、買われ過ぎ・売られ過ぎの判断が役立ちます。

プロと初心者のトレーダーの違い

市場状況 初心者の考え方 優秀なトレーダーの行動
上昇トレンド中にRSI > 70 買われ過ぎ!すぐに売る モメンタムは強いまま。ロングを維持、または弱気のダイバージェンス待ち
下降トレンド中にRSI < 30 売られ過ぎ!すぐに買う 弱さが続く。買いは待つ。ブルリッシュダイバージェンス待ち
横ばい相場 混乱してわからない これこそ買いの絶好機。RSIが30付近で反転、または70付近で反落を待つ

正しいシグナル:ダイバージェンス

なぜ優秀なトレーダーは70/30ラインだけに頼らず、「ダイバージェンス」を重視するのか。それは最も強力な先行シグナルだからです。

ブルリッシュダイバージェンス

  • 価格が新たな安値をつくる(Lower Lows)
  • しかしRSIはそれに追随せず、より高い安値(Higher Lows)をつくる
  • 意味:売り圧力が弱まっている。反転の兆し。

ベアリッシュダイバージェンス

  • 価格が新たな高値(Higher Highs)をつくる
  • RSIはそれに追随せず、より低い高値(Lower Highs)をつくる
  • 意味:買い圧力が弱まる。反落の兆し。

これらは、Oversold(<30)やOverbought(>70)に関係なく、特に重要なゾーンで発生したときに最も効果的です。

確認技術:Failure Swings(失敗スイング)

Wilder自身も推奨した、最も信頼できる技術です。

Failure Swing Top(ベアリッシュ)

  1. RSIが70を超える(High 1)
  2. 価格が新たな高値をつくるが、RSIは追随せず、ダイバージェンス(High 2)
  3. RSIが前の高値を下回る(Fail)→低値を切る

このとき、RSIが再び70を超えたら、売りシグナルが確定します。

Failure Swing Bottom(ブルリッシュ)

  1. RSIが30を下回る(Low 1)
  2. 価格が新たな安値をつくるが、RSIは追随せず、ダイバージェンス(Low 2)
  3. RSIが前の低値を上回る(Fail)→高値を超える

このとき、RSIが再び30を下回らずに上昇したら、買いシグナルです。

この技術は、RSIが単なるダイバージェンス以上の「自己確認」ツールとなるため、精度が格段に向上します。

50ライン:真のコンパス

トレンドフォロワーにとって、70/30よりも重要なのは50ラインです。

  • RSI > 50:上昇トレンドの始まり。買い優勢。50を下回るまでは売りは控える。
  • RSI < 50:下降トレンドの始まり。売り優勢。50を超えるまでは買いは控える。

50ラインは、買いと売りのバランス点です。これを基準にトレンドの方向性を判断します。

トレンドに合わせてゾーンを調整:高度なテクニック

強い上昇トレンド

  • RSIは40〜90の範囲で動き、30にはほとんど下がらない
  • 40〜50が新たなサポートラインとなる
  • プロは、RSIが40〜50に下がったときに買いを検討し、反転を待つ

強い下降トレンド

  • RSIは10〜60の範囲で動き、70にはほとんど到達しない
  • 50〜60が新たなレジスタンスラインとなる
  • プロは、RSIが50〜60に上昇したときに売りを検討し、反落を待つ

これにより、70/30のラインだけに頼るのではなく、市場の強さに応じてゾーンを調整できるのです。

RSIの弱点と対策

RSIは完璧ではありません。誤ったシグナル(False Signals)が頻発します。特に、変動の激しい市場では遅行指標となり、価格の動きに追いつきません。ダイバージェンスは事前に警告を出すこともありますが、価格が大きく動く前にシグナルが出ることもあります。

最良の対策:RSIだけに頼らず、複数のツールを組み合わせる(Confluence)。例えば:

方法1:RSI + Price Action

  • RSIが30に近づいたときに、価格が重要なサポートに到達したら買い
  • RSIが70に近づいたときに、価格が重要なレジスタンスに到達したら売り
  • ダイバージェンスや反転シグナルと併用

方法2:RSI + MACD

  • MACDのトレンド確認とRSIのダイバージェンスを組み合わせる
  • 両方のシグナルが一致したときにエントリー

実例:XAUUSD(金)トレード例

4時間足の金価格が4,250ドルに到達:

ステップ1:4,200を超えたが、RSIは追随せず、ダイバージェンスが発生(高値が更新されてもRSIは追随しない)

ステップ2:すぐにエントリーせず、確認を待つ

  • RSIが50を下回る(下降モードに変わる)
  • Failure Swingが発生:RSIが低迷し、前の低値を下回る
  • 4,250のレジスタンス付近でローソク足が反転

ステップ3:これらのシグナルが揃ったら、売りエントリー

ステップ4:ストップロスは高値4,250の少し上に設定し、ターゲットは前のサポートラインに設定

このようなトレードは、リスクとリワードのバランスが良い。

まとめ:正しいRSIの使い方は…

RSIは、モメンタムを測るツールであり、価格の「門番」ではありません。ツールの理解不足が、損失を招く最大の原因です。

  • 70/30ラインだけに頼らず、ダイバージェンスやFailure Swingsを待つ
  • 50ラインをトレンドの方向性の指標とする
  • 市場の強さに応じてゾーンを調整
  • 複数のツールと併用して信頼性を高める

この戦略は、FX、金、原油、暗号資産など、あらゆる市場で有効です。ただし、継続的な練習と規律が必要です。

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