一株当たり利益(EPS)指標を理解し、3つのステップで潜在株を選びましょう

なぜ投資家はEPSを重視するのか?

上場企業の財務報告書を読む際、**一株当たり利益(EPS、英語表記:Earnings per share)**は最も頻繁に言及される重要指標です。簡単に言えば、EPSは企業が一株の普通株に対してどれだけ純利益を配分できるかを示し、企業の収益効率を直感的に反映します。

投資家にとって、EPSの高低は企業の価値を決定します。もし企業のEPSが継続的に増加していれば、投資した1ドルあたりより多くのリターンを得られることを意味し、そのような企業は長期保有に値します。逆に、EPSが下落したり変動したりする企業は慎重に評価すべきです。これが、機関投資家や個人投資家がこの指標に密接に注目する理由です——それは企業の収益能力を評価する基礎だからです。

EPSの計算は思ったほど複雑ではない

一株当たり利益の計算式は非常にシンプルです:

EPS =(純利益 - 優先株配当)÷ 流通普通株数

例として、アメリカの銀行(BAC.US)の2022年の実際の財務データを使って計算過程を示します。

第一段階:損益計算書から3つのデータを抽出

  • 純利益(Net earnings):$275.28億
  • 優先株配当(Preferred stock dividends):$15.13億
  • 加重平均普通株発行数(Average common shares issued):81.137億株

第二段階:式に代入

EPS = ($275.28 - $15.13) ÷ 81.137 = $3.21

第三段階:結論

アメリカ銀行は2022年に一株あたり$3.21の利益を株主に還元しました。他の銀行の同時期のEPSと比較することで、アメリカ銀行の収益効率のレベルを判断できます。

ちなみに、現代の財務ソフトは自動的にEPSを計算してくれるため、投資家は手動で計算する必要はほとんどありません。しかし、計算のロジックを理解しておくことは、データの裏にある真実——例えば流通株数の変動や株式買戻しによるEPSの押し上げ効果など——を見抜く助けになります。

最新のEPSデータを得る2つの方法

方法1:公式財務報告書を直接確認(最も信頼できる)

例としてApple(AAPL.US)を挙げると:

  1. 連邦準備制度理事会の公式サイトsec.govにアクセス
  2. 検索欄に「AAPL」と入力し、10-K(年次報告書)または10-Q(四半期報告書)を選択
  3. 書類を開き、「CONSOLIDATED STATEMENTS OF OPERATIONS」内に「Earnings per share」が記載されている

この方法の利点は、データが最新かつ正確ですが、検索手順がやや複雑です。

方法2:金融情報サイトを利用(便利だが遅延の可能性あり)

SeekingAlphaやYahoo Financeなどのプラットフォームは無料でEPSを検索でき、基本EPS、希釈EPS、予測EPSなどさまざまなタイプを表示します。選ぶ際は、自分が知りたいのがどの種類かを明確にしましょう——一般的に投資家が関心を持つのは**基本的な一株当たり利益(Basic EPS)**です。

EPSを使った銘柄選定の正しいアプローチ

一つの四半期や一年間のEPSだけを見るのは意味がありません。重要なのはトレンドを観察することです。

第1ステップ:企業のEPSの長期的推移を追う

例としてAppleを取り上げると、2019年12月から2024年12月までに、EPSは約$2.97から$6.05へと上昇しています。この上昇曲線は、Appleの収益力が継続的に強化されていることを明確に示しています。この年々の成長は、堅実な投資のシグナルです。

逆に、3年間にわたりEPSが規則的に変動せず、むしろ下落している場合は、収益の勢いが弱まっている可能性があり、原因を深く理解する必要があります。

第2ステップ:同業他社と横並びで比較

EPSの威力は相対比較にあります。半導体大手のデータを見てみましょう:

  • 2023年、NVIDIA(NVDA.US)のEPSは$5.94
  • 同じく高通(QCOM.US)のEPSは$6.48
  • AMD(AMD.US)のEPSは約$1.85

一見すると、高通が最も収益性が高いように見えますが、ここに落とし穴があります——EPSは株式買戻しによって人為的に引き上げられることがあるのです(流通株数が減少し、分母が小さくなるため、EPSが自動的に上昇します)。

第3ステップ:PER(株価収益率)を取り入れて深掘り

これが最も重要なステップです。PER = 株価 ÷ EPSは、株式数の変動の影響を排除できます。

例えば、株Aの株価が$30、EPSが$1ならPERは30倍です。同じ業界の平均PERが10倍なら、市場はA株を3倍高く評価していることになり、過大評価の可能性があります。このとき、「市場は将来の成長を期待しているのか」それとも「バブルの兆候か」を判断する必要があります。

EPSだけで株を選ぶのは100%正確ではない理由

一つの典型的な逆例を見てみましょう。2020年以降、QCOMのEPSはNVIDIAやAMDを大きく上回っていました。通常の投資判断なら、QCOMに投資すべきだと考えますが、実際の結果はどうだったのでしょうか?

3年間の投資リターン比較:

  • NVIDIA:+251%
  • QCOM:+69%
  • AMD:それ以下

**なぜEPSと実際のリターンが乖離するのか?**理由は3つあります。

1. 特殊項目による利益の歪み

例えば、ある飲食企業が不動産を売却して巨額の利益を得た場合、その金額は損益計算書に計上され、EPSを押し上げます。しかし、不動産売却は通常の事業活動ではなく、将来的に繰り返されるものではありません。投資家はこれに騙されやすいため、こうした一過性の項目を除外し、「持続的な営業利益」を見る必要があります。

2. 株式買戻しによる見えざる上昇

企業が継続的に株式を買い戻すと、流通株数が減少します。利益が変わらなくても、分母が小さくなるためEPSは自動的に上昇します——これは実質的な収益力の向上ではなく、数字の操作です。賢明な投資家はこれを見極める必要があります。

3. 希薄化EPSの将来リスク

企業が発行したストックオプションや転換社債、制限付株式などがすべて行使・転換された場合、希薄化EPSは大きく低下します。計算式は次の通りです。

希薄化EPS =(純利益 - 優先株配当)÷(流通株数 + 転換証券数)

例としてコカ・コーラ(KO.US)の2022年を見てみると、基本EPSは$2.23ですが、2200万の転換証券を考慮すると、希薄化EPSは$2.19に下がります。わずかな差に見えますが、実際には利益が薄まっていることを意味します。

EPS、株価、配当の三角関係

EPSと株価の正の循環(およびその崩壊時のメカニズム)

一般的な流れは:EPSが好調→投資家の信頼感増大→株価上昇→企業の信用向上→売上増加→再びEPSが上昇、という正のフィードバックです。

しかし、致命的なポイントは市場の期待値です。

仮に市場がEPSの成長率を15%と予想しているのに、企業が実際に出すのは10%の成長だった場合、EPSは増加していても、「期待外れ」とみなされて株価は大きく下落します。逆に、EPSが5%減少しても、市場予想より良ければ株価は上昇することもあります。これが、いわゆる「ダメな会社」の株価が高騰したり、「良い会社」の株価が下落したりする理由です。

EPSと配当(DPS)の関係

一株当たり配当(DPS)は、企業が利益の一部を株主に分配したもので、計算式は次の通りです。

DPS = 総配当金 ÷ 流通普通株数

配当利回り = DPS ÷ 株価

EPSとDPSはともに株主のリターンを示しますが、意味合いは異なります:

  • EPSは企業がどれだけ利益を生み出しているかを示す
  • DPSは企業がどれだけ利益を株主に還元する意志があるかを示す

面白い矛盾もあります——高配当が必ずしも良いことではないのです。もし企業が利益の80%を配当に回し、残りの20%を研究開発や事業拡大に充てている場合、将来の成長エンジンは弱まり、EPSの伸びも鈍化または逆に縮小します。だからこそ、成長株は一般的に配当を出さず、利益を投資に回すのです——それが将来のEPS増加を促すからです。

一方、銀行や公共事業など成熟産業は高配当を出す傾向があります。成長余地が限られているため、株主への還元を優先します。

よくある誤解のチェックリスト

Q:どのEPS水準が「良い」のか?

A: 絶対的な基準はありません。重要なのは3つのポイントです。

  1. トレンド——EPSは年々上昇しているか?
  2. 業界内比較——業界内での位置付けはどうか?
  3. 影響要因——成長は実績によるものか、それとも株式買戻しによるものか?

Q:基本EPSと希釈EPSはどちらを見るべきか?

A: 両方とも重要ですが、用途が異なります。

基本EPS 希釈EPS
反映 現在の実績利益 潜在的な希薄化後の利益
計算対象 現在の流通株数 転換証券やストックオプションも含む
投資判断 現時点の価値 潜在的リスクも考慮した価値

基本EPSと希釈EPSに大きな差(10%以上)がある場合、企業は大量のストックオプションや転換証券を発行しており、将来的に株主の持ち分が希薄化するリスクが高いと判断できます。

Q:EPSをもとに将来の株価を予測できるか?

A: ウォール街のアナリストは日々これを行っています——予測EPSをもとに市場の期待値を判断します。ただし、予測自体が多くの変数を含むため、絶対的な予測は困難です。最終的に株価は、「実績EPSと予測EPSの差」によって動きます。つまり、予測と実績の乖離が株価を左右するのです。

投資家への最後のアドバイス

EPSは企業価値を理解するための重要な窓口ですが、これだけで銘柄を選ぶのは、健康診断の指標だけを見て健康状態を判断するようなもの——十分ではありません。

総合的な銘柄選定の流れは次の通りです:

  1. EPSの長期的な上昇トレンドを持つ企業を選ぶ(トレンド重視)
  2. 同業他社と比較し、PERやEPSの水準を評価(適正評価)
  3. 希薄化EPSと基本EPSの差を確認し、リスクを把握(リスク管理)
  4. 株式買戻しや一過性の要因で数字を誤魔化していないか見極める(罠を避ける)
  5. 業界の展望や経営陣の能力、財務の健全性も総合的に判断し、最終決定を下す

こうして初めて、EPSという鏡を通じて企業の真実を見抜き、数字の遊びに惑わされずに済むのです。

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