ゴミ山から宝物へ:アメリカの核廃棄物が液体金に変わる可能性

こちらは驚くべき現実です:米国は90,000メートルトンの高放射性使用済燃料を保有しており、そのほとんどが未開拓の資産です。Microsoft、Google、Amazonなどのテック大手がAIインフラを支えるための十分な原子力を確保しようと奮闘する一方で、誰も語らない並行の危機があります。それは、年間約2,000トンずつ蓄積されるその核廃棄物をどう処理するかという問題です。

そこで登場するのがCurioというスタートアップです。彼らは廃棄物問題を完全に再定義しています。使用済燃料を処理の悪夢とみなすのではなく、原料の金鉱と捉えているのです。同社のリーダーシップには、米国エネルギー省の元臨時核エネルギー補佐官エド・マギニスが名を連ねており、彼はこう言います:「ウランが原子炉を5年間通過した後、そのエネルギーの約4%しか抽出されていません。」

廃棄物は廃棄物ではなく、資源の仮面をかぶったもの

実際に使用済核燃料の中で何が起きているのかというと、ウランが核分裂を起こすと、単なる廃棄物だけでなく、非常に価値の高い同位体の宝庫を生み出します。例えば、触媒コンバーターに不可欠なロジウムやパラジウム(、さらに最先端の電子機器や煙探知器に使われるクリプトン-85やアメリシウム-241といった特殊な同位体です。世界全体で約40万トンの使用済燃料があり、そのうち再処理されているのは三分の一だけです。

現在、米国はロシアのウラン濃縮に大きく依存しており、戦略的な脆弱性となっています。しかし、その放射性廃棄物の中には隠された解決策が潜んでいます。

技術の概要:クリーンケミストリーと電気化学の融合

Curioの革新的な技術は、原理的には非常にシンプルながら、実践面では革命的です。従来の、放射性汚染を増やす危険な硝酸リサイクル方法の代わりに、彼らは乾式の電気化学および熱処理(パイロプロセス)システムを採用しています。これは、金属を熱、化学反応、電流を用いて正確に分離するもので、異なる同位体や核分裂生成物が持つ沸点、比重、電気的性質の違いを利用しています。

その結果、純粋な分離元素が得られます:原子炉燃料に適したウラン、次世代原子炉設計に適したプルトニウム、そしてロジウム、パラジウム、セシウム、ストロンチウム、アメリシウムなどの貴重な副産物です。理論上、1つのCurio施設で米国の年間核燃料供給量の約3分の1に相当するウランを抽出できると見積もられています。

真の革新:二つの危機を一度に解決

ここで本当に画期的なのは、再処理によって放射性崩壊のタイムラインが10,000年から数百年に短縮される点です。これは単なる数字のゲームではなく、核廃棄物の貯蔵に関する政治的・実務的な計算を根本的に変えるものです。「数世紀」だけ危険な状態の材料と、「何千年も危険な状態」の材料を安全に保管できる場所を見つけるのは、格段に容易になります。

一方、AIの爆発的なエネルギー需要により、主要なテック企業はカーボンニュートラルな電力源を追い求めています。すると、米国の94基の商業用原子炉からの97ギガワットの電力だけでは不十分に見えてきます。廃棄物からリサイクルされた燃料こそが、その不足分を補う鍵となるのです。

タイムラインとその先の展望

エネルギー省は、3年間のデモンストレーション契約を国家研究所で進めており、来年までに完了予定です。成功すれば、商業規模の施設は3〜5年以内に稼働する可能性があります。Curioは、その処理能力だけで、世界のロジウム需要の10%を満たすことができると見積もっています—米国の廃棄物だけから。

この可能性は計り知れません。米国のエネルギー安全保障への道筋、カーボンニュートラルなAI電力ソリューション、長期的な核廃棄物負債の大幅な削減、そして貴重な希少金属や同位体の回収による何十億ドルもの価値創出です。言い換えれば、核廃棄物危機は戦略的なアドバンテージに変わり得るのです。

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